ワクワクする東京会へ 2025年6月より、日本公認会計士協会東京会の会長に就任しました髙橋克典と申します。就任にあたり、3つの目標を公約として掲げました。 1. ワクワクする東京会へ行こう! 2. 住所地を大切にしよう! 3. トランスフォーメーション! いずれも東京会の会員に向けたメッセージですが、その先にある目的は、公認会計士一人ひとりの活力を引き出し、その力をもって地域社会への貢献をより一層高めていくことにあります。3つの公約すべてに「!」を付けているのは、私の本気度の表れとご理解いただければ幸いです。一つひとつご説明申し上げます。 1. ワクワクする東京会へ行こう! 「楽しいところだな」と思って多くの方が集まってくれる東京会にしたいと考えています。公認会計士の活躍の場は多様化しており、CEO、CFO、COO、社外役員、政治家、行政職員、大学教授、さらにはNPOの経営支援を行うプロボノ会計士まで、多彩な専門性と経験を持つ人材が揃っています。こうした多様な背景を持つ会員が集うことで、自発的に、そして自然発生的に面白い企画が生まれてくると思っています。特に公認会計士は、「社会の役に立つこと」を本分としていますので、このような交流の中から、地域や社会に貢献するためのアイデアが生まれてくると信じています。 また公認会計士が明るく前向きな活動をしていれば、皆さま方もより気軽にお付き合いいただけるのではないかと思うのです。しかめ面ではなくニコニコ路線で、個人的なモットーとしては「先生と呼ばないで」、「お互いに“さん”付けで」をキャッチフレーズに、皆さまとの関係を築いてまいりたいと思っています。 2. 住所地を大切にしよう! これは地域における会員相互のネットワークを充実させ、地域に根ざした活動を推進していこうという趣旨です。東京会は東京23区と三多摩地区、6県(茨城県、群馬県、栃木県、長野県、新潟県、山梨県)の30地区に地区会を設置しており、会員は事務所がある地域と住所地のある地域の両方の地区会に所属することとなっています。 例えば世田谷会は、事務所所在地が区内にある会員・準会員は846名、事務所が区外で住所地が区内にある会員は1,037名、合計すると約2,000名近い会員がこの地域に関 わっていることになります。地区会では専門家や組織人である前に、生活者や個人としての活動を推奨しており、まさにここでワクワク大作戦が繰り広げられると企図しています。地域の小・中学校で会計リテラシーを広める『ハロー!会計』の実施を拡大したり、自治体の包括外部監査人の推薦、また地域の商工会議所の皆さまと交流させていただくなど様々な地域貢献活動を展開していきたいと考えています。 3. トランスフォーメーション! 「変革(Transformation)」は、いま私たちに求められている最も重要なテーマです。 日本公認会計士協会本部の南成人会長は、ダーウィンの言葉を引きつつ、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもなく、唯一生き残るのは変化できる者である」と公認会計士業界の変革の必要性を説かれました。まさにそのタイミングであると、私も共感しております。 激減する人口、高齢化、一方でAIが日進月歩で進化し、仕事も働き方も、また社会構造そのものも再構築が求められる時代に突入しています。こうした外圧が見えているのであれば、積極的に変革を進める側に立たなければならないと思うのです。 これは、企業も自治体の皆さまも同様であろうと思います。トップマネジメントは、中長期的な目線でドラスティックな改革を進めていく必要が出てくるでしょう。KPIを用いた評価・効率化、スクラップ&ビルド、優先順位をつけた戦略的チャレンジ…、そうした変革の時こそ、公認会計士にご相談ください。私たちは、数値で目標を立て、現状を把握し、具体的なアクションプランを提案することができます。有識者会議への参加や包括外部監査人の推薦、また会計・監査に関わる研修会もご要望に合わせてアレンジしますので、お気軽にお問い合わせください。 ご参考までに、私は東京都や区の有識者会議や指定管理者選定委員会によく参加させていただきました。たとえば東京都の公衆浴場の入浴料金を審議する委員会に、有識者委員として数年間携わりました。「銭湯の入浴料金」は物価統制令の適用を受けている最後の価格です。銭湯経営に必要なコスト(燃料費、人件費、減価償却費など)の算定や経営状況の分析をして費用構造の妥当性をチェックし、適切な銭湯の入浴料金を提言しておりました。こうした有識者会議には大学の教授や弁護士の方が多く参加されますが、数値による実態検証や予測を出すのは公認会計士が力を発揮します。自治体が所有するハコモノの経営分析や資産活用の支援、内部統制システムの改善支援も、公認会計士が得意とする分野です。皆さまの経営判断、ガバナンス改革にぜひご活用いただければと思います。 信頼する人が報われる社会に 包括外部監査も含め「監査」は、事業活動の適正性を担保し、その信頼性を高める役割を担っています。では、信頼性が高まるとどんな良いことがあるのでしょうか。 信頼性が高まると、その社会では「信頼する」人が増えていきます。資本主義社会では、企業を信頼する投資家が増え資本市場が活性化します。自治体では、自治体を信頼する住民が増えて、人々は安心して暮らし、元気な社会が実現していきます。つまり「監査」の最大の効果は、「信頼する人が増え、チャレンジする人が増えていく」ことだと思うのです。 「信頼する」ことは、相手の未来を信じる行為ですから、実はそんなに簡単ではありません。時には裏切られることや、不慮の事故も起こり得ます。しかし、だからと言って、未来を信じなければ私たちはチャレンジできませんから、人々は努力して信頼する力、信頼される力を養い、また法律やルールという仕組みを整備して「信頼する人が報われる社会」を目指しているのだと思います。「会計」や「監査」という仕組みも、経済社会における信頼性を担保し、人々のチャレンジを支えるために生み出された人類の知恵と言えるでしょう。ですから、この知恵をしっかり活用していただきたいというのが、私たちの願いです。 信頼と挑戦に満ちた未来を、ともに切り拓いてまいりましょう。
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